めくるめく恋心
_秋ちゃんに言われるまで回し蹴りした事なんて忘れてたよ。


「ココの回し蹴り懐かしい〜。」

「秋生が顔腫らして学校来た時はマジウケた。」

「え? 心ちゃんってばそんなガチな回し蹴りかましたの?」


_恭平から本気で引かれてる気がする。 愛は笑い過ぎて苦しそうにしてるし……。


「朝練行く前に秋ちゃんが家に寄って起こしてくれるのが習慣になってたんだけど、いつもは寝てるんだけどその日はたまたま起きてて、着替えてるところ見られてつい勢いで気付いたら足が出てた……。」

「あれは本気で痛かったよ。 今でも忘れられない。」

「もーごめんって何回も謝ったじゃん!!」

「今じゃお前しょっちゅうブラとパンツで家ん中うろついてるだろ。」


うーちゃんの言葉にみんなに大笑いされた。

_このタイミングでそれを言わなくてもいいのに……。

うーちゃんの二の腕をバシッと叩くと笑われてしまった。

そんなこんな話をしていると待ち時間はあっという間に過ぎて、私たちの番が回ってきた。乗り物に乗り込む瞬間が一番緊張する。うーちゃんに手を引かれて乗り物に乗り込んだ。

スタッフの人に言われる前にバーをしっかりおろした。


「怖い?」

「ちょっとね……。」

「大丈夫だよ。」


バーを握る手の上から秋ちゃんの手が重なった。
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