めくるめく恋心
「あのさ、何で別れちゃったのか聞いてもいい?」


_そう言えばまだ詳しく話してないんだった。


「好きな人が出来たの。」

「え!? そうなの!?」

「うん。 千里とは好きで付き合ったけど、気になる人ができて気付いちゃったんだよね。早く秋ちゃんの事忘れて前に進まなきゃって気持ちの方が大きかったんだって……。」


素直が一番って言っていた葉山さんの言葉が最近分かるようになった。気持ちを無視してこうなんだ、こうしなきゃって思い込むと自分が辛いし、何より周りを傷つける。


「それで? その好きな人はどんな人? 同じ学校の人?」

「あー……えっと……きーちゃん。」

「え!? 本当に!?」


従弟にしか思えないって言ってた分、きーちゃんの名前はちょっと言い辛かった。恵奈ちゃんは驚いた顔をしていたけど、笑顔になった。


「気持ち伝えないの?」

「まだ千里と別れたばっかりで、気持ちの整理がついてないから……ちゃんと整理がついたら伝える。」

「そんな悠長な事言ってていいわけ? 吉良君は望みないと思ってるわけだし、何よりモテるから早くしないととられちゃうかもよ?」

「そうなったら辛いけど、もしそうなったら次は私が頑張って追いかける。」

「そんなに好きなんだ。」


言葉よりも先に顔が反応してしまった。鏡を見なくても口角が上がってるのが分かる。
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