めくるめく恋心
言われた場所に着いて葉山さんに連絡をすると、暫くして葉山さんが姿を現した。


「心ちゃん急にごめん!! 来てくれて本当に助かったよ!!」

「何かあったんですか?」

「時間が押してるから、移動しながら話すよ。」


建物の中に入って急ぎ足で進みながら、葉山さんは説明を始めた。けどその話に耳を疑った。


「私が!? 無理ですよ!!」

「心ちゃんなら大丈夫だって!! それに顔は写らないからマジお願い!!」

「で、でも! ど素人ですよ!?」

「そのへんは問題ないよ! 相手は蒼汰だからちゃんとリードしてくれるから!。」


_蒼汰君!? ちゃんとしたモデルが相手なのに……しかも大事な撮影で代理の女性モデルが私でいいわけ!?

予定していた女性モデルがさっき食中毒で倒れたらしく、雰囲気が似ている私に代打を務めてほしいという話だった。しかも今回の撮影はBlue Roseの広告モデル。確かにお店で働いてはいるけど、店番するのとモデルをするのとでは訳が違う。

何がなんだか分からないまま時間だけが過ぎていく。

葉山さんの指示通りに動く度、身なりがどんどん変わっていく。顔は写らないって言ってたのに、顔にもきちんとメイクを施されて、それだけで別人に見えた。その上ヘアメイクに普段着ない様なエレガンスなドレスワンピ。もう殆ど別人じゃないかと思うほどの出来上がりに唖然となった。

履きなれない高いヒールで案内された部屋に入ると、普段とは雰囲気の違う蒼汰君が居た。


「ココちゃん可愛い!!」

「あははっ、蒼汰君もカッコイイ!!」

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