めくるめく恋心
「ココちゃん、好きなものを思い浮かべて。」
「好きなもの?」
「そう。 抱きしめてるのも俺じゃなくて、彼氏だと思えばいい。」
_彼氏……。
「実は……千里と別れたんだよね。」
「え!?」
突然体を離した蒼汰君に驚いた顔で顔を覗きこまれた。
「おい蒼汰!!」
「すんません!!」
また抱きしめられたけど少し緊張がほぐれたのか、笑ってしまった。
「別れたって、いつ?」
「修学旅行の前だから、まだひと月も経ってないよ。」
「その事吉良は知ってるの?」
「まだ言ってない。」
「まだ……ね。 分かった。 じゃあおれもまだ知らない事にしとく。 好きな人の事を思い描いて。 そうしたら自然と力が抜けるから。」
蒼汰君の察しのよさはピカイチかもしれない。
言われた通りきーちゃんの顔を思い描いた。胸は煩いくらいドキドキし始めたけど、不思議と呼吸は楽になった。強張った体が柔らかくなるにつれて、頬も柔らかくなった。気持ち悪いくらいにやけてしまう顔をどうにかしたくて下唇を噛みしめるが、あまり効果はなかった。
「好きなもの?」
「そう。 抱きしめてるのも俺じゃなくて、彼氏だと思えばいい。」
_彼氏……。
「実は……千里と別れたんだよね。」
「え!?」
突然体を離した蒼汰君に驚いた顔で顔を覗きこまれた。
「おい蒼汰!!」
「すんません!!」
また抱きしめられたけど少し緊張がほぐれたのか、笑ってしまった。
「別れたって、いつ?」
「修学旅行の前だから、まだひと月も経ってないよ。」
「その事吉良は知ってるの?」
「まだ言ってない。」
「まだ……ね。 分かった。 じゃあおれもまだ知らない事にしとく。 好きな人の事を思い描いて。 そうしたら自然と力が抜けるから。」
蒼汰君の察しのよさはピカイチかもしれない。
言われた通りきーちゃんの顔を思い描いた。胸は煩いくらいドキドキし始めたけど、不思議と呼吸は楽になった。強張った体が柔らかくなるにつれて、頬も柔らかくなった。気持ち悪いくらいにやけてしまう顔をどうにかしたくて下唇を噛みしめるが、あまり効果はなかった。