めくるめく恋心
何やかんやで撮影が終わり、終了の合図で思わずため息が漏れた。


「お疲れ様。」

「本当に疲れたよ……こんな大変な仕事してる蒼汰君を尊敬した。」

「あはは、大袈裟。 大変な事もあるけど、俺は好きでやってるから楽しい気持ちの方が多いかな。」


同じ高校生で、しかも年下とは思えないくらい堂々としている。

_本当尊敬するよ。


「心ちゃんお疲れ。 今日は本当にありがとう。 助かったよ。」


乗り気じゃなかったし大変だったけど、葉山さんの笑顔を見て本当に引き受けて良かったと思った。


「私なんかがお役に立てたなら良かったです。」

「『私なんか。』なんて言葉似合わないよ。 これを機会にモデルやってみたら? 向いてると思うよ。 少なくとも俺はまた君を撮りたいって思ったよ。」


いつの間にか後ろに立っていたカメラマンさんにそう言われて、慌てて首を横に振った。


「今日はありがとうございました。 今日何とかなったのは相手が蒼汰君だったからで、相手が違う人だったらもっとご迷惑おかけしてたと思います。 それにモデルなんて仕事してたらなんか潰れちゃいそうなので、私は見る側でいいです。」

「それは残念。 でも気が変わったら言ってよ。 助けになるからさ。」

「はい! ありがとうございます!!」


カメラマンさんは「じゃ。」と言って行ってしまった。

_緊張した。
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