めくるめく恋心
学校に行って、授業受けて、バイト行って……そんなふうに過ごしていたら案外時間が過ぎるのは早くて、今はピークに焦っている。焦っても時間は容赦なく過ぎていく。

_一日二十四時間じゃ足りないよ……。


「顔ヤバいけど、大丈夫?」

「顔だけじゃなくて頭の中もヤバいよ……。」

「心ってそんなに馬鹿なわけ?」


愛は相変わらず直球で、今ではそれが清々しく感じる。だから一緒に居て楽なんだけどね。


「成績はいつも中の中?」

「んじゃ、いーじゃん。」

「そうなんだけど、テストって響きが昔から苦手で、変に焦るしお腹痛くなるし……落ち着かないんだよね。」

「子供か。」

「小学生の時から成長してないかもー。」

「あははっ、ヤバ過ぎ!!」


隣でゲラゲラ笑う愛のお腹を指で突っついた。びくっと反応した愛にやり返され、渡り廊下で無駄にはしゃいでしまった。


「心ちゃん!」

「あ! 千里先輩、こんにちは。」


体操着を着た千里先輩が駆け寄ってきた。体操着姿でも王子様っぽく見える人ってそうそういないと思う。


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