フィルムの中の君
「それと、もう一つ聞きたいことがあったんだよね」
もう一つ…とは?
少し声のトーンが下がったことに気付き昴は椅子に座りなおした。
「なに?どうしたの?」
「正直に答えてねって言うほうが無理なのはわかってんだけど…
昴、宮藤くんとはどうなの?」
「……………………はっ?」
(芽衣さん、いきなり何のこと!?)
劇の話をした後で、何でそんな話になったのか理解に苦しむ。
どういう意味かと聞き返した。
「んー…やっぱり惚けるかぁ」
「いや、そんなつもりじゃ…」
聞き返さずとも昴にもその質問の意味はわかっている。
ただどう返せばいいのかわからなかった。
「まー、昴がぽろっと話すわけないのはわかってて聞いたんだけどね」
と、ニヤニヤ笑いながら芽衣は昴を見ている。
「…もし私が優を好きだったとしても、絶対上手くいかないから大丈夫だよ」
「それってどういう意味?」
あまりにも小さくて今にも消えそうな声に芽衣は眉間に皺を寄せた。
「なんとなく…そう思う」
その表情には覇気が無く、昴は重そうに口を開いた。
上手くいけばちょっと口を割るだろうが笑って誤魔化されるのがオチだろう、と思っていた芽衣にとって、この状況になるのは想定外だった。
(こんなに凹まれるとは思わなかったな)