フィルムの中の君



「ねぇ芽衣ちゃん、
宮藤優って知ってるよね?」と蔵之介。


それにはもちろんと答えが返ってくる。
きっと学校中誰に聞いても知らない人間なんていないだろう。


「単刀直入に言うと、
俺と海斗…あ、久石。優と友達なんだ」


「宮藤くんの…友達?」


驚いているような、
相手の真意を探っているような、
その様子からは芽衣が何を考えているのかわからなかった。


「そう、それでね」


そこから海斗が本題に入ろうとしたところでーー。


「…宮藤くんと昴のこと?」


ふふっと芽衣は階段の上に立つ2人を見上げた。


「その通り、ご明察」
これには蔵之介も笑うしかなかった。


「宮藤くんがなかなか行動起こさずに事態が進展しないから周りからアプローチをかけるってこと?」


「そこまで理解されたら説明しようがないな…」と言って海斗は頭をかく。


階段の下の方からは今日の一般公開に向けて作業をしたり話し合いをする生徒たちの声が響いてくる。


「そんなこと言うぐらいだから、
きっと2人とも宮藤くんとかなり仲良しなんだよね!」


「多分…櫻井さんと瀬山さんぐらいにはね」
何故か勝ち誇ったような海斗。


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