フィルムの中の君



「え、ゆ…あ、宮藤くん…
何でこんなところにいるんですか?」


片言な日本語で質問する昴に爽やかな笑みを浮かべて優は近付いてきた。
その間にもきゃーっ!という声が周囲で沸き起こっている。


「ばっくれてきた」と至近距離まで顔を近づけて笑う優。


「本当に!?」


優は前かがみになっていた体を戻し、からかうように笑う。


「冗談ですよ。ここがすごい評判なので見に来ただけです」
と営業スマイル。


「なんで…そんな格好してるの」


周りがテンション高く盛り上がるほど、昴の気持ちは落ち着いてくる。
というより寧ろ冷めてきている。


「うちお化け屋敷やってるんだけど、受付の他の奴が普通に着物着てるから俺は狩衣着せられてる」と小声。


はぁ…そうですか、と頷くしかない。


昴の隣にいた芽衣が、
「宮藤くん狩衣似合ってるね!
陰陽師か何かのコスプレ?」と聞く。


「よくわかりましたね!
これだけだとわかりにくいんですけど、実は陰陽師に扮してるんですよ!」
と、返す優。


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