フィルムの中の君



撮影終了後いつもならみんな仲良く雑談したりしているのだが、今日は普段と空気が違った。



女性陣の方はまだよかったが、優が来たことにより男性陣の部屋は何とも言えない空気に包まれていた。



宮藤くん…だっけ?
と真田が優に話しかける。



「歳いくつなの?まだ未成年?」


「今16です!」


じゃあ櫻井さんと同い年だね〜
なんて他の俳優が言う。



そっか、高校生なのか、と。
今をトキメク人気若手俳優を真田は間近でじっと見つめた。



「さ、真田さん…?」



「…いーや、何でもない!
気にしないでくれ宮藤くん」



他の役者やスタッフからの呑みの誘いを受けたが、今日はごめん!と真田は帰っていった。


残った役者たちも一人、また一人と帰宅する。
すると今まで静かだった野上がふと口を開いた。


「宮藤…優くん」



バリトン歌手のような滑らかな声が優の名前を呼ぶ。
優が振り返ると野上は椅子に座りコーヒーに口をつけたところだった。


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