フィルムの中の君
『 主演 櫻井昴
連続ドラマがいよいよスタート!』
学業の傍ら芸能の世界に身を置き女優業をこなす昴。高校生ながら忙しい日々を送っていた。
「ちょっと昴!!!」
朝からのんびりしてる昴にキッチンの奥からお叱りの声が飛ぶ。
「学校間に合わなくなるから急いで!」
……え?
ふとテレビの左上の時刻を見ると間も無く7時40分になろうとしていた。
急いでお皿に盛られたものを平らげ身支度に入る。
「ほらほら急いで!」
「わー!ごめんなさい水島さん!」
水島というのは彼女のマネージャー兼母親代わりの女性であり、昴と寝食を共にして面倒を見ていた。
パリっとスーツに着替えるとカバンを持ちメガネをかけ、昴を急かす。
「早くしないと置いてっちゃうよ!学校遅刻しても知らないからね!!」
待ってよ水島さーん!!!と、半泣き状態で玄関を飛び出してきた昴を助手席に乗せ、水島はアクセルを踏んだ。