フィルムの中の君
長かったような短かったような黒鳥の撮影は今日で最後。今日撮影予定のもの以外全シーンを撮り終えていた。
テレビ放送もあと2話。
最終話の最後の部分を撮ってクランクアップの予定である。
最後のシーンに関わらず主要キャスト全員出番があるということで朝から丸一日撮影予定。
昴も学校を休み撮影所へと向かった。
「おはようございます!
よろしくお願いします!!」
黒鳥スタッフ、キャストに挨拶をするのも今日が最後。
毎日顔を合わせていた人と会えなくなるのは寂しいものの、早く映像として見てみたいと思うのも事実だった。
「おはよう昴ちゃん!
今日で撮影も終わりだね」
「かるなさん!今日は衣装黒いんですね」
菱川家の祖父の葬式が終わった後、という設定なので全員真っ黒。
「野上さん、真田さん、
おはようございます!」
「おはよう昴ちゃ〜ん!」
「昴ちゃんおはよう」
この2人も衣装は上から下まで真っ黒。
噂によると相当いいスーツを身につけているとかいないとか…。
そして最終回、蘭とのシーンが一番多いであろう藤崎圭介役のこの人。
「優くんおはようございます」
「おはよう昴ちゃん!」
最終回の台本をもらい読んだ出演者たちは全員がシナリオに驚いた。
何故なら役者陣全員がいいやつだと思っていた藤崎圭介が殺人を犯すからである。
これには思わず「さすが鈴屋監督…」と口から出てしまったほど。
監督だけではなく脚本の石上先生の話も常人では思いつかないような面白さがある。
そうして順調に今日も撮影が進んでいく…はずだった。