フィルムの中の君
昨日は久しぶりに学校へ行ったけど昴はお昼で早退をした。
撮影時間と学校の時間を上手く組み合わせる方法は無いのだろうか?と考えたがどうにもならなそうだと気付く。
昴急いで!遅刻する!といつものように水島に怒られながら車へ乗り込んだ。
連絡先を交換して以来、昴と優は空いている時にお互い連絡をしていた。
今も携帯を見ると優からのメッセージが届いている。
『昨日丸一日欠席で…
今日は仕事ないから学校行ける!』
そっか、よかったね、と呟く昴。
(この前引越しするから転校したって聞いたけど、転校したばっかりで学校行けないのは辛いよね…)
いつも通り門から少し離れたところで車を降り、水島に手を振って教室へと向かう昴。
さて、事務所行ってから局の打ち合わせに行かないと!とアクセルを踏もうとした瞬間、ある車が目にとまった。
走る車を見て、どこかで見た覚えのある車だと思案する水島の頭の中で、数週間前見た車と運転手がヒットした。
「昴ー!!!!」
伝えようとしたが既に校舎の中へと昴は入っていた。声は全く届かない。
とりあえず今はそんなことしてる場合じゃないわ、とアクセルを踏み事務所へと水島は向かった。