フィルムの中の君
昴が芽衣から聞いた情報によると優が転校してきたのは先週の水曜日らしい。
丁度タイミングよく昴が休んでいるときに転校してきたのだ。
朝の下駄箱での騒動があったからなのかはわからないが、昨日に比べ確実に騒がしくなっている!
「芽衣、何で昨日教えてくれなかったの」
隣の席の友人を恨めしそうに昴は見るものの、我関せずとばかりにそっぽを向かれる。
「でもさ〜すごいよね、
昴ちゃんとあの宮藤優くんが同じ学校だなんて!!」
前の席に座っている女の子が振り返り楽しそうに昴に言う。
「そ、そう…?」
「そうだよ!宮藤優くんって実物もかっこいいんだね!」
彼女のその一言に周りの女の子たちはだよねー!と同意して意気投合している。
演技をしてるときは別人だけど素の本性知ったら絶対無いと思うよ!
なんてことは言えず昴はひたすら苦笑いで通す。
その場を離れようと立ち上がり教室を出ようとする昴を呼び止める声。
「櫻井」
「えっ?」