俺、兄貴になりました③
とりあえず慶くんの部屋に戻ろうと、廊下をバタバタと通っている時だった。
「きゃっ…」
ドンっと何かにぶつかってしまった。
なんだろうと思って顔をあげるた瞬間、私の胸がまたドキンと音をたてた。
だって……。
だって……。
「愛美ちゃんかー。びっくりしたよ」
「大丈夫?」
サッカー選手の双子のお兄さんがいたのだから。
いい色にこんがりと焼けた肌に、短く切りそろえられた髪は爽やかさをイメージさせる。
「愛美ちゃん?大丈夫?」
「おーい?」
大丈夫ですっ。
でも、声が出ないんですっ…!!