俺、兄貴になりました③
「翔、にぃ?」
抱きしめながらふと顔をあげると、家のあちこちに手作りの花や折り紙で作った輪っかなどの装飾がされていて。
そうか。
これをあの部屋で作ってたから、俺を部屋に入れなかったんだな。
バカだな、こいつら。
俺が、お前らを見捨てるわけねぇだろ…。
「あのな、お前ら。この数年間、俺の何を見てきたんだ?俺は超がつくほどのブラコンだって言わなかったか?」
俺は、この兄弟の長男になって、沢山の感情を出すことが出来た。
「お前らがいるから、俺は毎日楽しく笑ってられるんだ。迷惑だ?そんなもん欠片も思ったことねぇよ」
怒るのも、こいつらが大切だから。
褒めるのも、こいつらが大好きだから。
親父と俺の2人だけの家族を、こんなにも大きな家族にしてくれた。
こんなにも、感情のある温かい家にしてくれた。
これ以上に、幸せなことなんてあるわけない。