俺、兄貴になりました③
「あっ!ちょっと恋にぃ!蒼にぃ!そこばっかり靴下の飾りつけないで!」
「「だってこの方がサンタクロースが靴下見つけやすいじゃんね」」
おい双子。
なぜ今俺を見た。
プレゼントなんてやらねぇぞ。
「「慎はこれつけてあげる」」
そう言って煌が慎の体にぐるぐる巻きにしてつけたのは、電気で光る小さいライトがたくさんついたもの。
「はい、部屋の電気消して、スイッチ押しまーす」
真っ暗になった部屋でポチっとスイッチを押した瞬間、慎の体が色とりどりにライトアップされた。
「「おーー」」
うん、あのな?
「慎、すっげえ光ってる!!」
「綺麗だぞー!」
「ホントに光って見えるね」
そうだな、綺麗だよ。
だってライトだもんな。
「「慎、アイドルみたいだ」」
「「スーパースターだね」」
確かにステージに上がったアイドルに見えなくもない。
けど。
「ホント!?俺アイドルに見えるー!?」
けどな。
「お前らさっさと飾って飯食いやがれ!!」
いつまでふざけんてんだコラァ!!
「「えーー、せっかく楽しいのに…」」
「お前ら1週間飯抜きに……」
「「すみませんでした」」
ペコリと礼儀正しく90度に頭を下げると、弟達は真面目に飾り付けに取り掛かった。
ったく。
ホント、世話の焼ける弟達だ。
でもこんなに元気だと、サンタクロースも驚いて来ないかもな。
なんて。
俺も少しだけ、馬鹿なことを考えたりした。
おわり。