風は囁く「君と輝きたいから」
プロローグ
漆黒の空に、銀河が帯を描き輝いていた。

客席を包み込む光彩の中、心の静寂を揺さぶられる音色、五臓六腑に染み渡るヴァイオリン演奏が不安を癒していく。

 彼は華奢で儚い見た目からは、想像もできないオーラを放ち、曲を奏でる。

切ないほど甘く優しいヴァイオリンの音色が響く。

彼が客席の1点をみつめ、奏でている曲は「Jupiter」では――ない。

ホルスト作曲「Jupiter」に、全く曲調の違う曲を合わせる。

だが、彼の音色は俺たち金管楽器の音色に調和している。

昴の吹く穏やかなホルンと空のチューバの重厚な低い音色、それに俺の吹く軽快なトランペットの音色が重なる。

透明で澄んだヴァイオリンの音色が心地好い。
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