風は囁く「君と輝きたいから」
「い、石にされそう……って」


「メデューサって知らない?」


「失礼ね。あなたって、そんなキャラ? 話すとイメージが」

妹尾さんが、嫌味たっぷりに言う。


「どんなイメージだよ」

詩月さんは小さく舌打ちをする。

妹尾さんと詩月さんの会話に、クスクスと笑い声が聞こえる。


「周桜さんって、こんなキャラだった? 何だかイメージがちがうな」

空は明らかに引いている。


「あんなイメージ」

妹尾さんは、スクリーンに映し出されたCMを指差している。


「知らないの?『ヴァイオリン王子』って呼ばれてるのよ、あなた」


「へぇ~……どうでもいい。ところで妹尾さん、何時?」


「え!?……」

妹尾さんは詩月さんに言われて、手首に着けた時計を見る。


「う、ウソ!!……何時からだった?」


「18時」


「あ~!! 10分前、走れば間に合うかしら」

妹尾さんは詩月さんを見上げ、訊ねる。
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