風は囁く「君と輝きたいから」
「直線距離で1.5キロ、アウトだな」
詩月さんは、慌てる様子1つ見せない。
「遅刻なんて……」
詩月さんは妹尾さんのぼやきをよそに、ヴァイオリンを素早くケースに仕舞って、人垣をくぐる。
さらに高々と、真っ直ぐに手を上げる。
走り込んで来たタクシーが歩道ギリギリで、停まった。
「妹尾さん、乗って」
詩月さんは、もたつく妹尾さんの手をグィと引っ張り、後部座席へ押し込み、自分も急いで助手席へ乗り込んだ。
動画は、そこで終わった。
「周桜詩月――。何て人や……信じられへん」
昴が呟いて、パソコン画面を見つめたまま、口をポカンと開けている。
俺はドラマみたいな画像だと思った。
――周桜は病気のこと、知られたくないみたいだから、詳しいことは身内くらいしか知らないと思う
そう聞いていたのに、詩月さんは大胆にも、シャツをはだけて、手術痕の幾つもある胸までさらけ出したことが、信じられなかった。
詩月さんは、慌てる様子1つ見せない。
「遅刻なんて……」
詩月さんは妹尾さんのぼやきをよそに、ヴァイオリンを素早くケースに仕舞って、人垣をくぐる。
さらに高々と、真っ直ぐに手を上げる。
走り込んで来たタクシーが歩道ギリギリで、停まった。
「妹尾さん、乗って」
詩月さんは、もたつく妹尾さんの手をグィと引っ張り、後部座席へ押し込み、自分も急いで助手席へ乗り込んだ。
動画は、そこで終わった。
「周桜詩月――。何て人や……信じられへん」
昴が呟いて、パソコン画面を見つめたまま、口をポカンと開けている。
俺はドラマみたいな画像だと思った。
――周桜は病気のこと、知られたくないみたいだから、詳しいことは身内くらいしか知らないと思う
そう聞いていたのに、詩月さんは大胆にも、シャツをはだけて、手術痕の幾つもある胸までさらけ出したことが、信じられなかった。