風は囁く「君と輝きたいから」
 そう言うと、彼の肩を抱き支え退室した。

「チッ、人騒がせなやっちゃな。クソッおもろーない会議、延長さすなや」

 昴が吐き捨てる。

俺も何が起きたのかと思うだけで何もわからなかったし、内心は会議が早く終わればいいのに迷惑だと思った。

何故CMプロデューサーが、たかが女の子の「具合が悪いんじゃない?」の一言に、あれほど血相を変えたのか?

 10分経ち、会議は再開されたが、彼は戻って来なかった。

CMプロデューサーが1人で戻って来ると「周桜くんはNフィルの音合わせに行った」と告げた。

昴の険しい顔は「はあ!? ええ加減にしいや」という呟きが聞こえるくらい不機嫌そうだった。

その後、何事もなく会議は進んでいく。

「Jupiter」の楽譜が出来上がったら、彼がヴァイオリンを弾き、プロの演奏家が金管楽器を演奏すること、俺たちはそれに合わせ演奏しているふりをすること等が発表されていった。
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