風は囁く「君と輝きたいから」
「それもあるけど『親の七光り』って言葉に、いきなり逆上して」


「安坂や緒方や観てた奴らが数人で、周桜を止めに入った挙げ句、発作起こして大変だったんだ」


「キレたらヤバい奴だって思う」


「腱鞘炎は大丈夫なのか? 練習時間制限されてるほどなんだろ!?」


「それで、あの演奏って凄いよな。ピアノはコンクール荒らしって異名があるよな」


「あいつの後に弾く奴が、必ずボロボロに調子崩すって。あいつの後には弾きたくないって泣き出す女子もいるんだってな」


「そりゃーな。あの演奏聴いて、何でもない方が不思議だ」

週刊誌や動画が出た後だ。
そんな会話を学内のあちらこちらで聞く。

夏パージョンのCMポスターも、試写会当日。
1枚残らず、はけたと聞いた。


6月初旬、正門前。
試写会の日以来、初めて周桜くんに会った。
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