風は囁く「君と輝きたいから」
俺が話す側で、空は「周桜さんに話しても……」と、愚痴を溢す。


――何を弾けばいいんだ!?

詩月さんは何を思ったのか、いきなり訊ねる。


「えっ!?」


――説得できなかったら、コンサートも没になるんだろ!?
うだうだやってる時間がもったいない。
その場しのぎで乗り切れるなら、とっとと決断した方が賢明だ。
何を弾けば……何分演奏すればいいんだ!?


「し、詩月さん!?」


俺は、詩月さんの言葉の意味を理解できない。


――だ·か·ら、弾いてもいいって言ってるんだ。
即興でも何でも、持ち時間分、きっちり弾く


「あ、あの……」


――鈍いな~、遥。
明日、事務所に行ってマネジャーと話をする。
どのみち、君たちに決定権はないんだろ!?


詩月さんは俺の話だけで、俺たちの状況も会社の事情も全て、飲み込んでいるようだった。


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