風は囁く「君と輝きたいから」
「周桜さんは出へんやろな」


 昴が冷たく言い放つ。俺は聞こえないふりをし、スマホを操作する。

呼び出し音が虚しく鳴り響く。


 ――もしもし


 十数回、呼び出し音が鳴った後、不安気な女性の声が聞こえた。


「あっ、あの、し、詩月さんのスマホですか?」


 俺は戸惑いを隠せず、慌てて話す。


 ――そうだけど、誰?


「えっと……XCEONの遥です」


 ――詩月に何の用だ?
 不機嫌そうな男性の声が聞こえた。


「し、詩月さんは? どうかしたんですか、そのさっき様子がおかしかったんで」


 ――詩月くんの様子がおかしかった!? 
わたし、小百合、千住小百合だけど……
どういうこと? 岩舘さんと一緒に詩月くんの側にいるんだけど


「小百合さん!? 詩月さんさ、事務所まで来て、桃香さんに会ったみたいだけど、エレベーター前で話した時……いつもと感じが違ったんだ」


 ――事務所……



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