風は囁く「君と輝きたいから」
「学長、そろそろオーケストラ部の金管楽器メンバーを紹介していただけます?」

桃香さんは見事なまでに華麗に、ヴァイオリンロマンスをスルーした。

俺たちが唖然と立ち尽くしてしまうほど、自然に。

「ああ、そうだったな。大学のオーケストラ部は次期コンマスとの呼び声が高い音楽科の安坂くんが、メンバーには詳しいんだ。えーと……」

学長は桃香さんの見事に華麗なスルーを受け、スマホを取り出し操作し「今、放送で呼び出すよう手配した」と言う。

要するに部下と学生に頼るんだと、ガッカリする。

『学生の呼び出しを致します。音楽科の安坂くん、安坂貢(あさかみつぐ)くん。至急オーケストラ部部室へ行ってください』

さて、学長の案内でオーケストラ部へ案内された俺たち。
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