風は囁く「君と輝きたいから」
「えっ!? 順番があるってこと?」


「はい、リクエストもダメなんです。女神像の下で弾くのは、エルガーの『愛の挨拶』なんです」


「エルガーの『愛の挨拶』……あんな甘~い曲? あれって愛の告白……」


「あの……ヴァイオリンロマンス、ご存知ないですか?」


女の子は頬を染め、もそもそと遠慮がちに訊ねる。


「聞いたことはあるけれど方法は、サッパリ」


「えっと………何してるの?」

説明しようとするナビ役の女の子の横で、銀貨を投げた女の子が鞄の中からファイルを取り出す。

無口な女の子だなと思いながら、様子を見ていた。


「これを」

女の子は、ファイルから取り出したコピー用紙をそっと差し出す。


「何!?……説明、もらっていいの?」

女の子は頬を真っ赤に染め、コクり頷く。
< 204 / 325 >

この作品をシェア

pagetop