風は囁く「君と輝きたいから」
「あの……話が見えないんですが」

安坂さんは、学長から何も知らされていなかったらしい。

桃香さんが詳細と経緯を説明し、ようやく話を理解した安坂さんは、硬派系の厳つい学生を3人、ピックアップした。

「周桜とまともに演奏できるメンバーです。周桜は頼りなさそうに見えますが、俺より実力は上です。それに、メンバーの潜在能力を最大限に、引き出す術を本能で知っていますから。いいアンサンブル演奏ができるでしょう」

安坂さんは桃香さんに、真剣な眼差しで話す。

「彼は天才です。彼のことを親の七光りだという無能な輩が多いですが。彼の才能は本物だし、何より彼は人一倍努力化ですし、誰よりも練習しています」

桃香さんが不思議そうに、安坂さんを見上げる。

「あの……ご存知ないですか? 彼の街頭演奏」
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