風は囁く「君と輝きたいから」
開演前の様子とはあまりに違うマネジャーの物腰に、戸惑う詩月さんに、マネジャーは「舞園が君をXCEONから離そうとした訳がわかった」とポツリ告げた。

郁子さんが楽屋で「アンコールの『愛の挨拶』嬉しかった」と言った言葉に、詩月さんは頬をほんのりと赤く染めた。

詩月さんと郁子さんが、どんな会話をしながら帰ったのかは聞いていない。

 コンサートの翌日。

 俺にかかってきた岩舘さんの愚痴がスゴいという言葉では収まらないほど凄まじかった。

「千住がモルダウで『信じらんない!! アンコールでJupiterに被せて弾いた曲が愛の挨拶なんて。しかも、客席にいる緒方さんをじっと見つめてなんてひどいわよ。コンサートのアンコールで愛の告白なんて、ドン引きよ!!』と、喚き散らし野獣のように吠えてマジウザかった。俺が知るかよ。詩月に直接、ぼやけばいいだろ。何でモルダウで吠えるんだ」


< 235 / 325 >

この作品をシェア

pagetop