風は囁く「君と輝きたいから」
「俺も詳しくは知らないんだけど、周桜は体が弱いんだ。昨年の秋からは、Ｎフィルの契約もあって電車やバスにも、やむなく乗ってはいるけれど……。体力的にはかなり無理をしてるんだと思う」

俺たちと桃香さんは何も言えずに、安坂さんが話すのを聞いていた。

「それまでは登校も、おふくろさんが送迎していたな。周桜は体育をいつも見学しているし」

桃香さんは真剣な顔で、安坂さんの話に耳を傾ける。

「周桜は具合が悪くても言わないんです。ギリギリまで心配させないように、我慢していることが多いんです」

桃香さんは、小さく舌打ちをし「何をやってるんだか」と呟く。

「あいつは、体のことをあまり知られたくないみたいだから」

「はあ？　意味がわからない」

空が冷たく言い放つ。

「鬱陶しいやっちゃな～。病人は大人しいしといたらええねん」

昴は思い切り舌打ちをする。
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