風は囁く「君と輝きたいから」
「身内以外で詳しく知っているのは、彼の師匠と周桜の隣人で主治医の弟の岩館理久(いわだてりく)くらいだと思うけど」

「無茶苦茶だな」

俺たちは何でそこまで隠すのかと、それぞれボヤく。

「安坂くん。周桜くんの主治医と貴方の連絡先聞いてもいい?」

「構いませんよ。えーと……」

安坂さんは「アドレス帳、岩舘病院……」ぶつぶつと、口に出して言いながら、スマホを操作する。

空が何をもたついているんだという顔で、安坂さんの手元を見ている。


「アドレス送信は簡単なのに、何をそんなに……」

「お前、言うたらあかんて」

昴が、言いかけた空の口を慌てて塞ぐ。

端から見てると、じゃれあっているようにしか見えない。

「俺、アナログ人間でこういうの疎いんだ。周桜は必要最小限しか連絡して来ないわりには、手際よく操作するけれど……これでいいのかな」
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