風は囁く「君と輝きたいから」
周桜くんが、ピアニスト志望のピアノ科に所属する学生だってことを忘れてしまうくらいに、綺麗なヴァイオリンの音色。

2年前までは、天才ピアニストで超絶技巧演奏家として有名な父親「周桜宗月」を完全コピーするほどのピアノ演奏をしていたって噂は何度も聞いている。

でも今は、自分自身の演奏を確立し、コンクール荒らしとまで恐れられている。

そんなことが信じられないくらいに。

蛙の子は蛙とか周桜Jr.とか、周桜くんは度々言われているけれど、ちっとも嬉しそうじゃない。


周桜くんが、中学2年生から街頭演奏で培った即興演奏やパフォーマンスの巧みさと天性の才能。

頭の堅い評論家たちから、野蛮だと批判される一方で、敷居が高いと敬遠されがちなクラシックへの概念を覆し、聴き手を惹きつけていると、評価もされているそうだ。


音楽科の学生や演奏家からは、敵に回すには怖い相手だとも言われているらしい。
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