風は囁く「君と輝きたいから」
「お前の不安とは次元が違うかもしれないが、願いや夢を叶えるってさ、後先なんて考えていたら、それこそツキを逃すよな」


「安坂……さん」


「頼りない声を出すなよ。ヴァイオリンロマンスの二重奏を聴いたんだ。
音楽の祝福がお前にはあるだろう?」

周桜くんの顔に明るさが戻る。


「周桜、決断する時は」


「今でしょ!!」

安坂さんの頭上辺りから、低い声が降った。

いつ、モルダウに入ってきたのか。
いつから話を聞いていたのか。

周桜くんも安坂さんも、わたしも気づかなかった。


「ちッ、理久。決め台詞を奪うなよ」


「いや、つい……ノリで」

岩舘さんは、悪戯っぽく笑っている。


「理久、いつから聞いてた?」


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