風は囁く「君と輝きたいから」
俺は意外だった。

周桜さんは神経質そうに見えるし、メールも丁寧に返信するのかと思っていた。

 空が手伝い、安坂さんと何とか無事に連絡先を交換し、金管楽器精鋭達の演奏を聴いた。

「Jupiter」の原曲。

スゴかった……スゴいという言葉では収まりきらない。

雄壮で重厚な音色は、五臓六腑に「Jupiter」の曲が染み渡った。

細胞や血液までもが不純物を一掃し、新しく生まれ変わっていくのではないかと、本気で思ってしまった。

 彼らは厳つい顔で無邪気な子どもみたいに、目を輝かせて言った。

「『Jupiter』を周桜がどうアレンジするのか楽しみだ。プロの演奏に負ける気がしない」と。
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