風は囁く「君と輝きたいから」
Γウジェーヌ何とかって辺りからか、後ろの席にいた。
ダメだって言われてた留学の許可が出たんだから、勇気出していいんじゃないか。
2年前に、悔しい思いをしたんだから」


「ん……」

周桜くんは頼りなく微笑む。


「で、郁子とのデートはどうだったんだ?
郁子に聞いても内緒って言って話さないんだよな」

岩舘さんは言いながら、ニコニコしている。

この人は、周桜くんには凄く優しい。

周桜くんに恋をしているんじゃないかって疑うくらいに。

いつも周桜くんを心配して、見守っている気がする。


「えっと……、そろそろ時間だから」

周桜くんは、急いで伝票を手に立ち上がる。


「照れるな、照れるな」


「て、照れてなんか……安坂さん。
少し楽になりました。ありがとう」


「おお」


「ヴァイオリンロマンスの譜面、仕上げたら見てください」

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