風は囁く「君と輝きたいから」
「『シレーナ』の件、ありがとうございました」


「別に、君のためにしたことではない。君のイメージダウンは、Xceon(エクシオン)のイメージダウンになるんでね」

マネジャーのツンと澄ました顔。

お盆間近。
事務所に訪ねてきた詩月さんは、何だか大人びて見えた。


「で、用件は?」


「夏CMコラボの際に、コラボ継続のお話をいただいていました」


「ああ……今、準備中だが」


「いえ……申し訳ありませんが、CMは辞退させていただきます」


「辞退……言い出すと思っていた。舞園が君のことを気にかけていた」


「彼女の病室での一言には、感謝しています」


「そうか、それで?」


「挑戦したいコンクールがあって、留学の準備を進めています」


「季刊クラシックは読んだ」


「正直、驚いています。あんな専門誌に取り上げられたこと……」


「君は自覚していないのか?」


「……親の七光りとか『周桜Jr.』とか、『シレーナ』だとかっていうレッテルを払拭したいんです」


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