風は囁く「君と輝きたいから」

――うん。だけどね、岩舘さんのその後の言葉が凄かったの。
「自信を持て、郁子。
詩月が、ライバルだと認めてるのは唯一、お前だけだ。
追いかけていけ、あいつのピアノに届くまで。
あいつと肩を並べるまで、いや……あいつを脅かす存在になれ」って


「岩舘さんって、周桜さんの最強サポーターだな」

空の言う通りだなと納得する。


――そうね。あんな迫力で言われたら、「はい」って言うしかないわね


「緒方さんは、願掛けせーへんのかな？　学園伝説」


――ｆ字孔に銀貨が入らないわ。
周桜くんは、表も裏も入れて、二重奏を聴いて楽譜を書いてたみたい。
学園伝説なんて「信じる信じないは、貴女しだい」みたいな話だけど


「他の人はともかく詩月さんが聴いた二重奏なら、俺は信じるよ」


――信じるの？


「うん。詩月さんなら、そんな奇跡を起こせそうだもん」