風は囁く「君と輝きたいから」

１９章/ザッツ·ア·プレンティ

――あなたの演奏が、あの子達の意識を変えたの


Xceon(ｴｸｼｵﾝ)の旧マネジャー舞園さんに言われた言葉が、頭の中に響く。


――教えられたのは、僕のほうだ

電車に揺られる間も、電車を降りＮフィルへ向かう間も、練習中も、舞園さんの言葉が、耳を離れない。


――どんなに才能があっても努力し、頑張らなければ輝かない。
自分自身を磨こうとしない原石は輝かない、ダイヤモンドにはならない

Xceon(ｴｸｼｵﾝ)と出会って、強く感じたことだ。

彼らと過ごす時間の中。
僕は、もっと先を、もっと高みを目指したいと思った。

立ち止まっている時間なんてない、迷っている時間なんてない。
そう思い、留学を本気で考え始めた。

演奏中、押し寄せる波のように、様々な感情が込み上げ溢れてくる。

僕は感情任せに演奏する。