風は囁く「君と輝きたいから」
20章/Ich liebe dich.(愛している)
留学が決まってからの日々は慌ただしくて、あっと言う間に過ぎた気がする。


9月初めから、留学先の大学や下宿先に、様々な手続きや申請書を送った。

ウィーンでの師匠は、ピアノもヴァイオリンも、どちらも両親の友人で、心配性の母も少しホッとしているようだ。

僕は夏の暑さで9月末まで、少し体調を崩したものの大事には至らず、検査数値も何とか安定している。

10月には向こうで必要な荷物も大方、送った。

残り少ない日本での日々。
大学の友人やNフィルのメンバーとも、できるだけたくさん交流した。

街頭演奏も慌ただしい合間を縫って、あちらこちらでおこなった。

Xceon(エクシオン)とは事務所を通じ、正式な契約書を交わし、この先は1員としてクラシック曲アレンジで関わっていく。

もちろん、彼らとは仕事だけの付き合い、そんな薄い繋がりにはしたくない。
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