風は囁く「君と輝きたいから」
俺たちの金管楽器演奏はずぶの初心者だ。

俺たちがどう足掻いても、周桜さんのアレンジした難しい楽譜は、演奏できるはずがない。

それは重々わかっていても、一生懸命、楽譜を書いている周桜さんの姿が浮かんできて、辛いなと思った。

数日後。
周桜さんは大学の金管楽器メンバーと一緒に、撮影スタジオに現れた。

周桜さんは厳つい金管楽器のメンバー3人と並ぶと、一層細く華奢に見える。

アレンジした「Jupiter」のアンサンブルは、周桜さんのヴァイオリン、トランペット、トロンボーン、ホルンで奏でられた。

録音ブースのガラス越し、周桜さんは金管楽器のメンバーと一緒に、ヴァイオリン演奏をする。

演奏を始める寸前まで大丈夫なのか? と思えるくらい頼りなかった。

でも、周桜さんは曲を奏で始めると、金管楽器メンバーの誰にも負けないほど頼もしく輝いて見えた。
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