風は囁く「君と輝きたいから」
10月末に緒方と訪れた鎌倉。
銀杏八幡宮の紅葉の鮮やかさは見事で、心が洗われるようだった。
2人で引いた御神籤は2人揃って大吉で、互いに御守りを交換しあった。
緒方のことを「郁子」と呼ぶのは、何だか照れくさくて……未だに「緒方」のままだ。
学園祭の翌々日。
僕は搭乗手続きを済ませ、出発ロビーに立つ。
飛行機の翼が、窓に映っている。
「詩月、無理をするなよ」
「理久、1人暮らしではないから……」
理久は、それでも心配顔で「無理をするな」と繰り返す。
「周桜、しっかりな。ウジェーヌ・イザイ、必ずファイナルを勝ち取れよ」
「安坂さん、もちろん」
「それから、モルダウのマスターから伝言。『俺の仇も取ってくれ』って……。あの人は、ウジェーヌ・イザイに声楽部門で落選しているらしい」
「了解!」
銀杏八幡宮の紅葉の鮮やかさは見事で、心が洗われるようだった。
2人で引いた御神籤は2人揃って大吉で、互いに御守りを交換しあった。
緒方のことを「郁子」と呼ぶのは、何だか照れくさくて……未だに「緒方」のままだ。
学園祭の翌々日。
僕は搭乗手続きを済ませ、出発ロビーに立つ。
飛行機の翼が、窓に映っている。
「詩月、無理をするなよ」
「理久、1人暮らしではないから……」
理久は、それでも心配顔で「無理をするな」と繰り返す。
「周桜、しっかりな。ウジェーヌ・イザイ、必ずファイナルを勝ち取れよ」
「安坂さん、もちろん」
「それから、モルダウのマスターから伝言。『俺の仇も取ってくれ』って……。あの人は、ウジェーヌ・イザイに声楽部門で落選しているらしい」
「了解!」