風は囁く「君と輝きたいから」
刹那、音楽プロデューサーの低音の怒鳴り声が響いた。

あっと思い顔を上げる。

ガラス越し、周桜さんがトロンボーン奏者の学生の腕にしがみつき、体を支えている。

「周桜……さん!?」

CMプロデューサーが立ち竦む俺たちを押し退け、険しい表情で素早く録音ブースの扉を開けた。

周桜さんの体はトロンボーン奏者の学生に寄りかかったまま、ガクリと沈みこんだ。

音楽プロデューサーはガラス越しの様子を、固まって見つめている。

CMプロデューサーが録音ブースのガラス越し、桃香さんに声を掛ける。

「舞園。CM撮影、明日に回せないか?」

CMプロデューサーは両腕で、周桜さんを抱きかかえている。

「大丈夫なのか、周桜詩月は」

音楽プロデューサーのため息混じりの低い声が、心なしか震えている。
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