風は囁く「君と輝きたいから」
周桜さんはホルン奏者の学生に言われ「そうですね、次に弾いてみます」と穏やかに笑った。

俺たちの楽器の扱い方は金管楽器のメンバーに伝授され、だいぶんマシになった気がする。

でも午後からの撮影は大変だった。

BGMに合わせ演奏しているふりをしながら、どんなに愛想よくしてもNGになる。

これでもかというダメ出しにうんざりする。

指先の動きが演奏に合わない。

弾いているイメージに爽やかさが感じられない。

新鮮さが足らない。

俺たちのオーラが弱いなど、次から次に。

1時間、2時間と時間だけが過ぎていく。

CMプロデューサーは痺れを切らし、渋い顔で撮影を中断し休憩を取った。

桃香さんとCMプロデューサー、撮影スタッフは三〇分ほどスタジオを抜け話し合いの末に、俺たちXceonメインの撮影を諦め、周桜さんをメインにし俺たちの手元を暈した撮影に切り替える決断をした。
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