風は囁く「君と輝きたいから」
昴が周桜さんを一瞥した目が敵対心丸出しで、ゾッとした。

正直、俺も凄く悔しかった。

午前中、金管楽器のメンバーに教わり楽器の扱い方や指の運び方を演奏に合わせ、ひたすら、さまになるよう努力した。

俺にはXCEONは売り出し中で、まだブレイクはしていないけれど、アイドルグループだというプライドがあった。

4月から大学生の周桜さんよりも若いし、元気さや初々しさにも自信があった。

それに安坂さんから「周桜は体が弱い」と聞いたし、周桜さんは頼りなく儚げで、俺たちよりもオーラは絶対に弱いと高を括っていた。

なのに、撮影方針を変え周桜さんをメインにし撮影が始まる。

周桜さんはカメラを向けられると、頼りなさを微塵も感じさせなかった。

カメラマンの表情が、俺たちをメインに撮影していた時よりも生き生きしている。
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