風は囁く「君と輝きたいから」
「大学の正門前にあるカフェで喋っていて。理久は周桜のことになると辛口になるから」

 安坂さんが申し訳なさそうに弁解する。

「岩舘さん。詩月さん、寝ちゃってて、起こすのが可哀想で」

「悪いな。起こすつもりはねぇよ。貢、詩月のリュックとヴァイオリンを持て」

 岩舘さんは詩月さんをそっと、両腕に抱きかかえる。

「ん……38℃5分越えか。1人で帰されていたら確実に途中でダウンしていたな」

 岩舘さんの言葉にギクリ、俺の胸が跳ねた。

緒方郁子さんは「ウソでしょう!?」と、上擦った声で詩月さんの様子を覗きこんだ。

「詩月の様子が少しでもおかしいと思ったら連絡しろ。メアドと電話番号は貢経由で送る」

 俺は詩月さん愛全開だなと、恐い人ではないと思う。

「返事は?」
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