風は囁く「君と輝きたいから」
だけど、桃香さんが詩月さんは「ローレライという怪物に怯えている」と言った恐ろしい詩とは思えなかった。スゴく穏やかで、綺麗な詩だと感じた。

「理久。周桜の答辞、聞きたかったんじゃないか?」

「はあ? 答辞なんて誰が読んでも同じだろ」

「あの周桜が、マニュアル化した原稿をそのまま読むと思うか?」

「ふん。読まないよな、詩月は。それに学長が詩月に答辞読んだ後、1曲弾けと命令したらしい」

 俺たちが裏門の男神像を見上げていると、そんな会話が聞こえてきた。

 俺は「えーーーっ」と大声をあげ、会話のする方に回り込んだ。

「うわあーーーあっ。い、岩舘さんに安坂さん!?」
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