風は囁く「君と輝きたいから」
「お前ら、何でここにいる?」

 それは俺が聞きたいと思う。

「岩舘さんたちこそ……僕らは、卒業式観てきたんです。周桜さんの『Jupiter』カッコよかったですよ」

 空が口元をピクピクさせて言う。

「へぇ~、あのスローテンポの『Jupiter』弾いたのか。あれはかなりアレンジしていてCMにも合わないと、詩月が外したヤツだ。それに、学長に一昨日呼び出されて、答辞で来賓アピールに一曲弾けと言われたらしい。Nフィルコンサートでも『Jupiter』の原曲を弾くし、ちゃっかり宣伝したのかもな」

「やる~、計算づくなんだ」

 俺は口笛を吹いて言う。

「で、お前らは何でここに? 卒業式を観終わったなら、用はないだろ」

 岩舘さんが、俺たちをじっと見下ろし、凄みを効かせ訊ねる。

「これを見ぃにきたんです」

 昴が竪琴を弾く男神像を指差す。
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