風は囁く「君と輝きたいから」
「詩月くんはいわゆるサラブレッドなのに、中学生の途中からお父さんが得意なショパンを弾けなくなって、自分の演奏もできなくなったの。『周桜Jr.』と言われてお父さんと比較されたり、もてはやされたりすることにひどいコンプレックスやストレスを感じていて。なのに、おばあちゃんは街頭演奏を課し『あなたは周桜Jr.ではない。周桜詩月よ』と励まし続けたの」
「うひゃーっ、スゴい荒療治」
俺は大声を出し、慌てて口を塞ぐ。
「街頭演奏を始めた時は緊張や不安で震えて、まともに弾けないだけでなく野次や悪口、罵声を浴びて泣きながら弾いていたんですって」
俺には凛として自信に溢れ颯爽と演奏する詩月さんに、そんな時期のあったことが、岩舘さんからも少し聞いていたけれど、改めて聞いても信じられず言葉がなかった。
「うひゃーっ、スゴい荒療治」
俺は大声を出し、慌てて口を塞ぐ。
「街頭演奏を始めた時は緊張や不安で震えて、まともに弾けないだけでなく野次や悪口、罵声を浴びて泣きながら弾いていたんですって」
俺には凛として自信に溢れ颯爽と演奏する詩月さんに、そんな時期のあったことが、岩舘さんからも少し聞いていたけれど、改めて聞いても信じられず言葉がなかった。