期間婚〜彼と私の微糖な関係〜
静かに
恐る恐る玄関のドアを開けると
皺くちゃのスーツ姿の若社長が血相を変えて駆けてきた。
「ただいま…」
顔を見れずうつむいたまま声をかけた私を
何も言わずに抱き寄せた。
「何やってんだよ…」
消え入りそうな声に胸が締め付けられる。
すると、そのまま私を抱き上げてソファーに移動しても彼は私を離さず抱きしめたまま
暫く、交わす言葉もなくそうしていた。
「昨日、帰ってきてちょこちゃんがいなくて恐くなった。
この生活が嫌になって出ていったんじゃないかって…
何度も電話をして…
やっとつながったかと思ったら千秋で…
あいつと、どこで何してた?」
「私にも…よく分からない」
だってそれは本当で
知らないうちに好きでも無い人を相手に処女喪失したなんて
受け入れられるわけないじゃん。