期間婚〜彼と私の微糖な関係〜
前社長が亡くなった。
若社長は家には戻ってこないけど
時間は
いつものように、いつものペースで流れて行く。
時間なんて無情なものだと、両親を事故で亡くしたあの幼い日にかんじた
虚無感が
あたしの心をまた空っぽにする。
夜更け
携帯の着信で目が覚めて思わず飛び起きる
若社長かもしれない!
慌てて携帯の液晶画面を見ると、そこには千秋君の名前が浮かんでいた。
眠たい目をこすって電話にでると、いつもの千秋君の声が聞こえてきた。
「父さん亡くなったの知ってるよね…」
「うん…」
ご愁傷様ですと言うべきなのか悩んでやめた。
その言葉はただの挨拶でしかないことを
幼いあの日に嫌なくらい身に染みて感じていたから。