期間婚〜彼と私の微糖な関係〜


若社長はもう家に帰ったのだろうか…。

結局、連絡もなく月曜日も彼は会社に姿を現さなかった。


…もう期間婚は終わったんだ。
連絡なんてくるわけもない。

それでも鳴らない携帯を意識してしまう。


嫌だな…。

楽しいだけの恋がしたかったのに…

今は

若社長から女性の匂いがした時よりも苦くて苦しいよ。

笑っちゃう

本当の恋人でもなかったのに

あの手の温かさが

あのキスが

脳裏に

肌に

唇に焼き付いて離れない。


私は

先輩のいうような大人女子になれたのだろうか…?


火曜日

いつもの時間に久しぶりに若社長が出勤した。

「おはようございます」

頭を下げた私たちに「ご苦労様、長い間留守にしてしまって申し訳ないね」と足早にエスカレーターをのぼっていく

彼の後姿が

すごく遠くに感じる。

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